2003年 5ドル紙幣(5 Eastern Caribbean Dollars)東カリブ中央銀行発行
― カリブ海地域を象徴する多国間共通通貨の美と歴史 ―
1. 概要
本稿で取り上げるのは、2003年に発行された東カリブ中央銀行(Eastern Caribbean Central Bank:ECCB)による5ドル紙幣である。本紙幣は、東カリブ諸国機構(OECS)に加盟する複数のカリブ海諸国および地域で共通して使用される法定通貨「東カリブ・ドル(Eastern Caribbean Dollar)」の一部として発行されたものであり、単なる紙幣以上に、地域統合・歴史・自然・文化を象徴する存在である。
額面は 5ドル(5 XCD)。
発行年は 2003年。
発行主体は 東カリブ中央銀行(ECCB)。
印刷は、世界的に著名なセキュリティ印刷会社である **デ・ラ・ルー社(De La Rue, ロンドン)**が担当している。
この紙幣は、カリブ海の小国群が共有する経済的・政治的協調体制を象徴すると同時に、イギリス連邦との歴史的関係、女王エリザベス2世の肖像、豊かな自然環境を巧みに融合させた、非常に完成度の高いデザインを持つ紙幣として高く評価されている。
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2. 東カリブ・ドルと東カリブ中央銀行の歴史的背景
2-1. 東カリブ・ドルの成立
東カリブ・ドル(XCD)は、1965年に導入された通貨であり、それ以前に使用されていたイギリス西インド諸島ドルに代わって導入された。主な目的は、小規模国家が乱立するカリブ海地域において、通貨の安定と経済統合を図ることであった。
この通貨は、以下の国・地域で使用されている。
•アンティグア・バーブーダ
•セントクリストファー・ネイビス
•セントルシア
•セントビンセント・グレナディーン
•ドミニカ国
•グレナダ
•モントセラト(英領)
これらの国々はそれぞれ独立国家、またはイギリス海外領土でありながら、共通通貨を採用するという極めて珍しい金融制度を維持している。
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2-2. 東カリブ中央銀行(ECCB)
東カリブ中央銀行は1975年に設立され、加盟国の金融政策を一元的に管理している。主な役割は以下の通りである。
•通貨の発行・管理
•物価および金融の安定維持
•銀行監督
•外貨準備の管理
ECCBは、カリブ海地域において最も成功した多国間中央銀行モデルの一つとして、国際的にも注目されている。
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3. 2003年シリーズ 5ドル紙幣の基本仕様
•額面:5ドル
•通貨単位:東カリブ・ドル(XCD)
•発行年:2003年
•発行主体:東カリブ中央銀行(ECCB)
•材質:紙
•サイズ:約145 × 69 mm
•形状:長方形
•印刷会社:De La Rue(イギリス・ロンドン)
•流通種別:通常流通紙幣
このサイズは、持ち運びやすさと視認性を両立させた設計であり、他の額面紙幣と識別しやすい点も特徴である。
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4. 表面(オブバース)の詳細解説
4-1. 女王エリザベス2世の肖像
表面右側には、**エリザベス2世女王(在位:1952年~2022年)**の肖像が描かれている。これは、東カリブ諸国の多くがイギリス連邦に属していることを象徴する重要な要素である。
肖像は、若き日のエリザベス女王を基にした公式デザインであり、以下の特徴が見られる。
•威厳と穏やかさを兼ね備えた表情
•精密な線刻による高い再現性
•偽造防止を兼ねた細密彫刻
この肖像は、単なる人物画ではなく、政治的安定と継続性の象徴としての意味を持っている。
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4-2. 自然モチーフ:ウミガメと魚類
女王肖像の下部には、**アオウミガメ(Green Sea Turtle)**が描かれている。ウミガメはカリブ海の自然環境を象徴する代表的な生物であり、以下の意味が込められている。
•海洋生態系の豊かさ
•自然保護の重要性
•カリブ文化と海の深い結びつき
さらに、左下には複数の魚類が描かれており、漁業と生活の結びつきを表現している。
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4-3. ハチドリ(グリーンスローテッド・カリブ)
紙幣右上には、**グリーンスローテッド・カリブ(Green-throated Carib)**と呼ばれるハチドリが描かれている。これはカリブ地域固有の鳥類であり、以下の象徴性を持つ。
•自由
•生命力
•地域固有の生物多様性
非常に細密な描写が施されており、偽造防止要素としても機能している。
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5. 表面の文字・表記
紙幣表面には、以下の英語表記が確認できる。
•EASTERN CARIBBEAN CENTRAL BANK
•THESE NOTES ARE LEGAL TENDER FOR THE PAYMENT OF ANY AMOUNT
•FIVE DOLLARS
これらはすべて、法定通貨としての正当性と価値を明確に示すための表記である。
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6. 裏面(リバース)の詳細解説
6-1. アンティグア・バーブーダの総督官邸(Admiral’s House)
裏面左側には、**アンティグア・バーブーダに所在するアドミラルズ・ハウス(総督官邸)**が描かれている。これは、植民地時代から続く建築様式を今に伝える歴史的建造物である。
この建物は以下を象徴する。
•植民地史と行政の中枢
•建築文化の継承
•歴史的アイデンティティ
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6-2. 東カリブ諸島の地図
裏面中央には、東カリブ諸島全体の地図が描かれている。
地図上には以下の国・地域が明示されている。
•アンギラ
•セントクリストファー・ネイビス
•アンティグア・バーブーダ
•モントセラト
•ドミニカ
•セントルシア
•セントビンセント・グレナディーン
•グレナダ
これは、複数国家が一つの通貨を共有するという特異な制度を視覚的に表現した重要な要素である。
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6-3. ドミニカ国・トラファルガー滝
裏面右側には、**ドミニカ国のトラファルガー滝(Trafalgar Falls)**が描かれている。
この滝は、火山活動によって形成された壮大な自然景観であり、以下を象徴している。
•自然の力強さ
•観光資源
•地域経済の多様性
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7. 透かし(ウォーターマーク)
本紙幣には、エリザベス2世女王の肖像透かしが施されている。光に透かすことで鮮明に確認でき、以下の役割を果たしている。
•高度な偽造防止
•紙幣の真正性証明
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8. 印刷技術とセキュリティ要素
デ・ラ・ルー社による印刷は、世界最高水準のセキュリティ技術を誇る。
主な特徴:
•精密凹版印刷
•微細文字
•多色重ね刷り
•金属光沢を伴う装飾要素
これらにより、紙幣の耐久性と安全性が確保されている。
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9. コレクターズ視点での評価
2003年発行の5ドル紙幣は、以下の理由から世界中の紙幣コレクターに人気がある。
•カリブ海らしい多彩な図案
•女王肖像紙幣としての歴史的価値
•多国間共通通貨という希少性
•デ・ラ・ルー社印刷による高品質
保存状態が良好な個体は、今後も安定した需要が見込まれている。
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10. 結論
2003年 東カリブ中央銀行発行 5ドル紙幣は、通貨・歴史・自然・文化・国際協調という複数の要素を一枚の紙幣に凝縮した、極めて完成度の高い作品である。
単なる決済手段を超え、カリブ海地域の精神そのものを映し出す「文化遺産」的存在として、今後も高い評価を受け続けるであろう。
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