1969年から1978年にかけて、エジプト中央銀行によって発行された5ポンド紙幣は、
20世紀エジプトの文化と歴史を象徴する最も印象的なデザインのひとつです。
表面には、カイロ最古のモスクのひとつである イブン・トゥルーン・モスク が描かれ、
裏面には、ナイルの氾濫の神 ハピ(Hapi) や ラムセス2世葬祭殿(ラムセウム) の遺跡、
さらに古代エジプトの日常生活を表すレリーフが並んでいます。
イスラム美術とファラオ文明が共存するデザインは、コレクターにとって非常に魅力的で、
今では「使える紙幣」ではなく歴史的資料・収集品として高い人気を誇っています。
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🔑 基本情報
•発行国: エジプト
•発行機関: エジプト中央銀行
•発行期間: 1969年–1978年
•発行時代: アラブ連合共和国(1958–1971)、アラブ共和国エジプト(1971以降)
•額面: 5ポンド(خمسة جنيهات مصرية)
•素材: 紙
•サイズ: 170 × 85 mm
•形状: 長方形
•状態: 現在は廃貨(収集用としてのみ流通)
•透かし: 古代エジプトの書記の肖像 + セキュリティスレッド
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✨ 表面デザイン ― イブン・トゥルーン・モスク
•879年に建設された、カイロ最古のイスラム建築のひとつ。
•螺旋状のミナレット(尖塔)と広大な中庭で知られています。
•幾何学模様とカラフルな地紋が組み合わされ、イスラム美術の精緻さを強調。
•アラビア語表記:
•البنك المركزى المصرى(エジプト中央銀行)
•خمسة جنيهات مصرية(エジプト・5ポンド)
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✨ 裏面デザイン ― ハピと古代エジプトの象徴
•ハピ(Hapi):ナイル川の氾濫と肥沃さを司る神。両手に供物を持ち、豊穣を象徴。
•ラムセス2世の葬祭殿(ラムセウム):古代テーベにある壮大な遺跡。
•日常生活のレリーフ:農耕・家畜・人々の営みを描き、古代ナイル流域の暮らしを表現。
•英語表記:
•Five Egyptian Pounds
•Central Bank of Egypt
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🕯 歴史的背景
1960〜70年代のエジプト
•ガマール・アブドゥル=ナセル大統領からアンワル・サダト大統領への時代。
•シリアとの**アラブ連合共和国(1958–1971)からアラブ共和国エジプト(1971〜現在)**へ移行。
5ポンドの位置付け
•当時の5ポンドは購買力が高く、重要な高額紙幣。
•今日では廃貨となり、収集品・学術資料としてのみ価値を持ちます。
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💠 セキュリティと透かし
•透かし:古代エジプトの書記の肖像。
•セキュリティスレッド:紙面に組み込まれた金属線。
•印刷技術:多色刷りとギロッシュ模様で偽造防止。
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📊 コレクター市場での評価
•**保存状態(グレード)**が価値を左右:
•美品〜未使用(UNC)はプレミアム価格。
•使用感ありのものも入門用として人気。
•人気の理由:
•イスラム建築と古代エジプト神話を同時に描いた独自性。
•1960〜70年代の歴史を象徴する資料性。
•対象コレクター層:
•世界紙幣コレクター
•中東・アフリカ史愛好家
•古代エジプトテーマ収集家
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📚 文化的意義
この紙幣は、エジプトの二重の遺産を示しています。
•イスラム文明:イブン・トゥルーン・モスク。
•ファラオ文明:ナイル神ハピ、ラムセス2世の神殿、古代の農耕生活。
この両立こそが、エジプトの「アイデンティティの融合」を象徴しています。
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¥500Price
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